About this study group

「過去建築圏」からの分離を求めて東京大学を卒業する学生たちが分離派建築会を結成して、まもなく100年を迎えます。

この運動は、20世紀への世紀転換期ヨーロッパ美術界におけるアカデミズムからの分離運動に刺激されて、建築における芸術性の解放を目指した若者たちによる瑞々しい運動として、近代建築の歴史に刻まれています。本研究会では、分離派建築会発足100年を見据えて、現代建築に通じる重大な岐路のひとつであったこの運動の実態と意味とを問い直すことを目的としています。

幅広い分野の研究者が集まり、分離派建築会を研究、学術的に再評価し、2012年から研究会、連続シンポジウム、展覧会、出版などを通じて、その成果を発信しています。




1920 分離派建築会
結成
2020 結成から100年

Latest news

分離派100年研究会からのお知らせ

展覧会の開催

分離派100年研究会が学術協力した展覧会「分離派建築会100年展 建築は芸術か?」が、パナソニック汐留美術館、京都国立近代美術館の2会場巡回にて開催されます。

分離派建築100年展バナー

展覧会

分離派建築会100年

建築は芸術か?

展覧会概要

大正時代、日本の建築界に鮮烈なインパクトをもって現れた新星たちがいました。日本で最初の建築運動とされる分離派建築会です。大正9(1920)年、東京帝国大学建築学科の卒業をひかえた同期、石本喜久治、瀧澤眞弓、堀口捨己、森田慶一、矢田茂、山田守によって結成され、その後、大内秀一郎、蔵田周忠、山口文象が加わり、昭和3(1928)年まで作品展と出版活動を展開しました。結成から100年目の2020年。本展は、図面、模型、写真、映像、さらには関連する美術作品によって、変革の時代を鮮やかに駆け抜けた彼らの軌跡を振り返ります。分離派建築会が希求した建築の芸術とは何か。日本近代建築の歩みのなかで果たした彼らの役割を、新たな光のもとに明らかにしていきます。

  • パナソニック汐留美術館

    2020年10月10日(土)~12月15日(火)

    <会 場>
    パナソニック汐留美術館 (アクセス


    <展覧会会期>
    2020年10月10日(土)~12月15日(火)
    ※会期中、一部展示替えします。前期10月10日~11月10日、後期11月12日~12月15日。11月12日以降に再入場の際は、前期半券ご提示で100円割引となります。

    <開館時間>
    午前10時~午後6時(ご入館は午後5時30分まで)

    <休館日>
    水曜日

    <入館料>
    一般:800円、65歳以上:700円、大学生:600円、中・高校生:400円、小学生以下:無料
    ※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。

    <主 催>
    パナソニック汐留美術館、朝日新聞社

    <後 援>
    一般社団法人日本建築学会、公益社団法人日本建築家協会、一般社団法人DOCOMOMOJapan、建築史学会、港区教育委員会

    <協 賛>
    株式会社 アール・アイ・エー、株式会社 石本建築事務所、株式会社山田綜合設計

    <協 力>
    一般財団法人デジタル文化財創出機構

    <学術協力>
    分離派100年研究会

    <会場構成>
    木村松本建築設計事務所

    ▶ さらに詳しく(パナソニック汐留美術館ウェブサイト)

  • 展覧会記念シンポジウム①「分離派建築会―新しい様式を求めて」 10月31日(土)

    ※イベント実施につきましては変更になる場合がございます。
    ※お申し込みされた方もお出かけ前に、パナソニック汐留美術館のホームページをご覧下さい。


    展覧会記念シンポジウム①「分離派建築会―新しい様式を求めて」

    分離派建築会は歴史的な様式建築への盲従を厳しく批判して立ち上がった のですが、けっして「様式」まで否定したのではありませんでした。彼らが追求 した近代建築の「様式」とは何だったのか、その実像を探ります。

    <出 演>
    香山壽夫氏(東京大学名誉教授、香山壽夫建築研究所所長)
    藤岡洋保氏(東京工業大学名誉教授)
    田路貴浩氏(京都大学教授)/モデレーター

    <日 時>
    10月31日(土)午後2時~午後3時50分(開場午後1時30分)

    <定 員>
    50名(要予約) ▶ 申し込み方法(パナソニック汐留美術館ウェブサイトへ)

    <聴講費>
    無料(ただし本展の観覧券と予約が必要です)

    <会 場>
    パナソニック東京汐留ビル 5階ホール
    自由席になります。
    *未就学児はご遠慮ください。
  • 展覧会記念シンポジウム②「分離派建築会と大正美術界」 11月8日(日)

    ※イベント実施につきましては変更になる場合がございます。
    ※お申し込みされた方もお出かけ前に、パナソニック汐留美術館のホームページをご覧下さい。


    展覧会記念シンポジウム②「分離派建築会と大正美術界」

    第一次世界大戦を挟んで世界は激動し、ヨーロッパの美術界や建築界 では前衛と呼ばれる新しい潮流がつぎつぎと登場しました。そうした動向を いち早く捉えようとしていた分離派建築会と美術界との交流を考えます。

    <出 演>
    大川三雄氏(元・日本大学理工学部教授)
    水沢勉氏(神奈川県立近代美術館館長)
    田所辰之助氏(日本大学理工学部教授)/モデレーター

    <日 時>
    11月8日(日)午後2時~午後3時50分(開場午後1時30分)

    <定 員>
    50名(要予約) ▶ 申し込み方法(パナソニック汐留美術館ウェブサイトへ)

    <聴講費>
    無料(ただし本展の観覧券と予約が必要です)

    <会 場>
    パナソニック東京汐留ビル 5階ホール
    自由席になります。
    *未就学児はご遠慮ください。
  • 京都国立近代美術館

    2021年1月6日(水)~3月7日(日)

    <会 場>
    京都国立近代美術館


    <展覧会会期>
    2021年1月6日(水)~3月7日(日)

    <開館時間>
    午前9時30分~午後5時
    金曜日、土曜日は午後8時まで開館
    *入館は閉館の30分前まで

    <休館日>
    毎週月曜日、1月12日(火)
    *ただし1月11日(月・祝)は開館

    <観覧料>
    一般:1,500円(1,300円)
    大学生:1,100円(900円)
    高校生:600円(400円)
    ※( )内は前売りおよび20名以上の団体
    ※ 中学生以下は無料*。
    ※ 心身に障がいのある方と付添者1名は無料*。
    ※ 母子家庭・父子家庭の世帯員の方は無料*。
    *入館の際に証明できるものをご提示下さい
    ※ 本料金でコレクション展もご覧いただけます。
    ※ 前売り券は11月21日~1月5日までの期間限定販売
    ※ チケット販売所:チケットぴあ(Pコード:685-427)、ローソンチケット(Lコード:53827)、セブンチケットほか、主要プレイガイド、コンビニエンスストアなど (チケット購入時に手数料がかかる場合があります)

    <主 催>
    京都国立近代美術館、朝日新聞社

    <後 援>
    一般社団法人日本建築学会、公益社団法人日本建築家協会、一般社団法人DOCOMOMOJapan、建築史学会、一般社団法人京都府建築士会

    <協 賛>
    株式会社 アール・アイ・エー、株式会社 石本建築事務所、株式会社山田綜合設計

    <協 力>
    一般財団法人デジタル文化財創出機構

    <学術協力>
    分離派100年研究会

    <グラフィック・デザイン>
    西岡勉

    <会場構成>
    木村松本建築設計事務所 + 西村祐一(Rimishuna)

    ▶ さらに詳しく(京都国立近代美術館ウェブサイト)

  • 過渡期の時代を考える シンポジウム「分離派建築会 ─ モダニズム建築への道程」 1月9日(土)

    ※お申し込み、またウェブでの配信の詳細につきましては、京都国立近代美術館のHPをご確認ください。

    <登壇者>
    田路貴浩(京都大学教授)
    足立裕司(神戸大学名誉教授)
    加藤耕一(東京大学教授)
    梅宮弘光(神戸大学教授)
    <日 時>
    2021年1月9日(土)午後2時~5時30分

    <定 員>
    50名(事前申込制)

    <聴講費>
    無料

    <会 場>
    京都国立近代美術館1階講堂+ウェブ配信
  • ことばの後ろに回り込む 講演会「「ことば」をもった大正時代の建築家たち」 1月16日(土)

    ※お申し込み、またウェブでの配信の詳細につきましては、京都国立近代美術館のHPをご確認ください。

    <講 師>
    本橋仁(京都国立近代美術館 特定研究員)
    <日 時>
    2021年1月16日(土)午後2時~4時

    <定 員>
    50名(事前申込制)

    <聴講費>
    無料

    <会 場>
    京都国立近代美術館1階講堂+ウェブ配信
  • いまの時代に再考する ネット連載「建築はホントに芸術か? 100年目のエスキース」

    ネットでの連載企画。12月頃より京都国立近代美術館のHPにて配信予定。

    3人の作家とともに、関東平野のなかに分離派建築会の残欠を探す二日間の旅。建築が芸術としてある道を模索した分離派建築会。いまの芸術家たちの目にどう写るか。ネットでの連載企画。12月頃より当館ウェブサイトにて随時発信を予定。

    <講評者>
    中村裕太(美術家)、小田原のどか(彫刻家)、大室祐介(建築家)
    <会 場>
    京都国立近代美術館1階講堂+ウェブ配信
  • 建築展を気楽に楽しむ 「マンガで見る!分離派建築会の実録エピソード」

    分離派建築会会員の出会いとエピソードをマンガで紹介。12月頃より京都国立近代美術館のHPにて公開予定。

    <制 作>
    Y田Y子(漫画エッセイスト)

出版物

図録『分離派建築会100年展:建築は芸術か?』(表紙A) 図録『分離派建築会100年展:建築は芸術か?』(表紙B)
展覧会会場にて発売中!

『分離派建築会100年展:建築は芸術か?』

朝日新聞社

展覧会「分離派建築会100年展:建築は芸術か?」の図録。
巻頭の若林勇人撮影による現存する分離派作品の写真、出品作品の豊富な図版に加え、田路貴浩、加藤耕一、本橋仁による論考、分離派100年研究会メンバーによる作品解説等を収録。表紙は、帯の裏表で2種類の柄が楽しめるリバーシブル。

B5・276頁/日英
ISBN: 9784876422128
発行年月: 2020/10
本体: 2,500円



分離派建築会: 日本のモダニズム建築誕生
発売中!

『分離派建築会: 日本のモダニズム建築誕生』

田路 貴浩 編 / 京都大学学術出版会

「我々は起つ。/過去建築圏より分離し,総ての建築をして真に意義あらしめる新建築圏を創造せんがために――」。東京帝国大学工学部建築学科を卒業した若き建築家6人は,1920年,過去の建築との決別を宣言し,「分離派建築会」を結成した。20世紀初頭の芸術運動の流れを汲み,本邦初の近代建築運動として知られる分離派建築会が追い求めた芸術と建築の融合。自由な芸術を求めたその行跡を辿り,彼らがふたたび様式に美を見出すまでの過程を,32の論考で,あらゆる角度から描き出す。

A5上製・550頁
ISBN: 9784814002955
発行年月: 2020/10
本体: 4,400円(税込 4,840円)


  • 目次

    はじめに [田路貴浩]

    Ⅰ Secessionから分離派建築会へ
    分離派の誕生——ミュンヘン、ベルリンそしてウィーン[池田祐子]
    オットー・ヴァーグナーの時代の建築芸術——被覆とラウム、そして、生活へ[河田智成]
    分離派と日本 分光と鏡像——雑誌『青鞜』創刊号表紙絵をきっかけに[水沢 勉]
    青島とドイツ表現主義[長谷川 章]

    Ⅱ 結成、または建築「創作」の誕生
    分離派建築会と建築「創作」の誕生[田路貴浩]
    一九一〇年前後の美術における「創作」意識[南明日香]
    分離派建築会の「建築・芸術の思想」とその思想史的背景——和辻哲郎との照応関係から[飯嶋裕治]
    分離派への道程——世代間の制作理念からの再考─足立裕司

    Ⅲ 〈構造〉対〈意匠〉?
    日本における初期鉄筋コンクリート建築の諸問題[堀 勇良]
    分離派登場の背景としての東京帝国大学[加藤耕一]
    東京帝国大学における建築教育の再読——学生時代における建築受容の様相[角田真弓]
    「構造」と「意匠」および建築家の職能の分離[宮谷慶一]

    Ⅳ 大衆消費社会のなかでの「創作」
    ゼツェッシオン(分離派)の導入[河東義之]
    博覧会における建築様式——分離派建築会の前後[天内大樹]
    「文化住宅」にみる住宅デザインの多様性の意味[内田青蔵]
    大大阪モダニズムと分離派——街に浸透する美意識[橋爪節也]

    Ⅴ 建築における「田園的なもの」
    「田園」をめぐる思想の見取り図 [杉山真魚]
    瀧澤眞弓と中世主義——《日本農民美術研究所》の設計を通して [菊地 潤]
    堀口捨己の田園へのまなざし [田路貴浩]
    堀口捨己と民藝——常滑陶芸研究所と民藝館を糸口に [鞍田 崇]

    Ⅵ 彫刻へのまなざし
    大正〜昭和前期の彫刻家にとっての建築[田中修二]
    「リズム」から構想された建築造形[天内大樹]
    山田守の創作法——東京中央電信局および聖橋の放物線の出現とその意味[大宮司勝弘]
    石本喜久治の渡欧と創作——あるいは二〇世紀芸術と建築の接近[菊地 潤]

    Ⅶ 「構成」への転回
    創作活動の展開[蔵田周忠]
    分離派建築会から型而工房へ[岡山理香]
    創造・構成・実践——山口文象と創宇社建築会の意識について[佐藤美弥]
    「新しき社会技術」の獲得へ向けて——山口文象の渡独とその背景をめぐって[田所辰之助]
    表現から構成へ——川喜田煉七郎におけるリアリティの行方[梅宮弘光]

    Ⅷ 散開、そして「様式」再考
    古典建築の探究から様式の超克へ——森田慶一のウィトルウィウス論をとおして[市川秀和]
    オットー・ワグナー十年祭と岸田日出刀の様式再考——「歴史的構造派」という視座をめぐって [勝原基貴]
    堀口捨己による様式への問いと茶室への遡行 [近藤康子]
    自由無礙なる様式の発見——板垣鷹穂・堀口捨己・西川一草亭 [本橋 仁]

    おわりに 分離派建築会以後——「創作主体」の行方[田所辰之助]

    あとがき

    索引


    より詳しく(京都大学学術出版会HPへ)

連続シンポジウム

春秋(京都/東京)の年2回、2020年まで計8回の開催を予定しています。

  • 分離派建築会発足と「創作」の誕生

    2017年7月8日(土)終了しました。

    <日 時> 2017年7月8日(土)13:00~17:30
    <主 催> 分離派100年研究会
    <会 場> 京都大学吉田キャンパス 百周年時計台記念館 2階 国際交流ホールⅢ
    ※ 参加費無料/申込不要

    ポスター:
  • 開  会: 杉山真魚(岐阜大学 准教授)

  • 趣旨説明: 田路貴浩(京都大学 准教授)

  • 長谷川堯(武蔵野美術大学 名誉教授)|「自己の拡充」の意義――後藤慶二から分離派へ

    建築設計において、設計者自身の「自己」を、建築表現に不可欠な主体者として認めるかどうかを巡って、その必要性を主張する「建築芸術派」が、1910年代の日本の芸術界全般の動きの中で台頭してくる。これに対して、東大建築科のいわゆる「構造派」の教師陣が中心となり、野田俊彦の「建築非芸術論」を前面に押し立てて、猛烈にこれに反発し、教育上のその締めつけが、やがて20年の「分離派建築会」の設立の直接の契機となったとされている。一方、両派の鋭い対立の狭間で、すぐれたデザイナーであり、また先進的な構造技術者でもあった後藤慶二は、「自己の拡充」こそが、最も主要な関心事だと、10年代半ばに書いている。ここではその真意を探り、その後の「分離派」の登場と、彼らの設計者としての軌跡についてあらためて考えてみたい。

    長谷川堯『神殿か獄舎か』鹿島出版会;「大正建築の史的素描」、建築雑誌、1970年1月号

  • 南明日香(相模女子大学学芸学部 教授)|大正期の美術における「創作」意識

    建築設計において、設計者自身の「自己」を、建築表現に不可欠な主体者として認めるかどうかを巡って、その必要性を主張する「建築芸術派」が、1910年代の日本の芸術界全般の動きの中で台頭してくる。これに対して、東大建築科のいわゆる「構造派」の教師陣が中心となり、野田俊彦の「建築非芸術論」を前面に押し立てて、猛烈にこれに反発し、教育上のその締めつけが、やがて20年の「分離派建築会」の設立の直接の契機となったとされている。一方、両派の鋭い対立の狭間で、すぐれたデザイナーであり、また先進的な構造技術者でもあった後藤慶二は、「自己の拡充」こそが、最も主要な関心事だと、10年代半ばに書いている。ここではその真意を探り、その後の「分離派」の登場と、彼らの設計者としての軌跡についてあらためて考えてみたい。

    南明日香「高村光太郎とロダンの言葉 ─造形の言語から文学の言語へ」、相模女子大学紀要 A 人文・社会系、64A、2000

  • 飯嶋裕治(九州大学基幹教育院 准教授)|分離派建築会の思想史的背景──和辻哲郎を中心に

    本発表の課題は、分離派建築会による「芸術としての建築」という主張が提起されてくる背景を、明治末から大正期にかけての思潮の中に探ることにある。そこで注目したいのは、分離派の若き建築家たちよりも数年年長で、当時文壇・論壇で活躍し始めていた和辻哲郎の動向である。西洋近代の「芸術」観の受容や教養主義といった時代背景の下で、和辻が「自己表現」としての創作や「民族」の根源的な想像力・創造力についてどんな思想を語り出していたかを見ることで、特に堀口捨己との注目すべき同時代性を確認できるはずである。

    飯嶋裕治「大正改元期における和辻哲郎と田中王堂 ─教養主義・ニーチェ解釈・日本文化研究─」、比較文學研究、100号、2015年6月

  • 笠原一人(京都工芸繊維大学 助教)|武田五一のセセッション受容と創作

    武田五一は、日本においていち早くヨーロッパのセセッション(分離派)を紹介し、そのデザインを普及させた建築家として知られる。しかしその活動は単なる紹介に留まらなかった。武田は、新しい建築は日本の伝統や独自の風土性を基に創られるべきだと考え、本質的な意味での「日本のセセッション」の実践を試みた。そのデザインや方法はいわゆる折衷主義的なものであったが、そこには「建築進化論」を唱え「妖怪」を好んだ建築家伊東忠太の影響が感じられる。武田と伊東を繋ぐことで、日本のセセッションのもう一つのルーツを探ってみたい。

  • 討論 大正時代と「創作」の誕生

  • 長谷川堯・南明日香・飯嶋裕治・笠原一人|モデレーター:市川秀和(福井工業大学 教授)

  • 閉  会: 加藤耕一(東京大学 准教授)

  • 分離派建築会と建築における「田園的なもの」

    2018年6月16日(土)

    <日 時> 2018年6月16日(土)13:30~17:30
    <主 催> 分離派100年研究会
    <会 場> 京都大学楽友会館2階会議・講演室(京都市左京区吉田二本松町)
    <定 員> 100名(参加費無料/先着順)


    ◆開催趣旨◆
    分離派建築会が発足された当時、社会にはデモクラシーの潮流が現れたり、ロシア革命に後押しされて社会主義思想が隆盛をみたりするなど、「大衆」や「民衆」に即した種々の主義や主張が生まれた。社会や精神の「改造」が叫ばれ、人々の眼差しは新しい都会・都市と伝統的な田舎・地方の両者に向けられた。本シンポジウムでは、分離派建築会のメンバーが新しい創作を標榜しつつも、堀口捨己の「紫烟荘」、瀧澤眞弓の「日本農民美術研究所」、蔵田周忠の一連の田園住宅など、民家(農家)に着想を得たと考えられる作品を残していることに注目する。「田園的なもの」「地方的なもの」がかれらの建築制作のモティーフに数えられたのは、刻々と変化する日常生活に対するひとつの応答であり、そこには表層的な模倣を超えた意味があったと考えられる。近代建築の多様化と均質化の中でかれらが摂取した地方性の問題について、分離派建築会の活動と同時期に創始された民藝(=民衆的工藝)運動も視野に入れながら検討したい。

    ポスター:

  • 全体進行: 本橋仁(京都国立近代美術館)

  • 開会挨拶: 市川秀和(福井工業大学)

  • 第1部

    各論発表

  • 杉山真魚(岐阜大学)|「田園」をめぐる思想の見取り図

    分離派建築会の第5回展(1926年1月)には、堀口捨己の「茅葺住家」、蔵田周忠の「住宅の一群」、矢田茂の「窯業家の住宅」など「田園」の要素をもつと思われる作品が多く出展された。同年6月に蔵田は『近代英国田園住宅抄』を刊行した。分離派建築会会員による「田園」に関わる言説や作品を辿ると、都市およびその郊外に建てられる文化住宅との関わりの中で「田園」が主題化され、そこには非都市的思考、反都市的思考、都市的思考という3つのパラダイムが存在していたことが見えてくる。いずれも建築家の個性を抑制的に扱いながら材料や民衆のもつ自然さや素朴さを創作に取り込むという共通の姿勢を有している。

  • 菊地潤(オガワホーム)| 瀧澤眞弓設計「日本農民美術研究所」

    瀧澤眞弓が山本鼎の日本農民美術研究所の本拠建物を1922(大正11)年に設計していたことはこれまで殆ど知られてこなかった。一見古民家風のたたずまいはそれまでの瀧澤の計画案にはみられなかったものであり、また実際に建てられた建物は瀧澤にとっての事実上の処女作(仮設展示館を除き)であったにも拘らず、発表された形跡さえ見られない。農民美術研究所の建物にはこうした謎めいた点があるが、単なる興味本位としてではなく大正期の瀧澤の思考を知る鍵になり得るのではないかと考え注目している。今回はまず現在の長野県上田市にあたる農村「神川(かんがわ)村」において、山本鼎が1919(大正8)年に興した農民美術運動の概要を紹介する。そして遺された瀧澤の設計図面や資料の報告を交えつつ、分離派建築家としての瀧澤と農民美術との出会いがもたらしたものを考えてみたい。

  • 鞍田崇(明治大学)| ノイズとしての「田園」―民藝運動とその時代

    民藝運動は、その草創期より、時代のオルタナティブを追究するものでした。運動のリーダー柳宗悦は、その主著『工藝の道』(1928)の中で、民藝という視点に立脚した新たな美の提示を「価値転倒」の試みとしています。彼らが注目したのは、世間的にも歴史的にも評価されないままだった雑器でした。いうならば、既知の言説に馴染んだ耳には意味をなさない、雑音でしかない、ノイズ的なものたち。あえて「民藝」という新しいコトバを造語した点にも、そうしたものへの関心はうかがえます。設立時期をほぼおなじくする分離派建築会にもまた同様の時代に対する姿勢があったのではないでしょうか。彼らが注目した「田園」とはまさにそうしたものだったのではないでしょうか。その現代的意義を考えます。

    参考文献 「堀口捨己が見た建築における『常滑的なもの』」『とこなめ陶の森 研究紀要Ⅰ』、pp.13-44、2017.3

  • 田路貴浩(京都大学)| 堀口捨巳のまなざしと心性

    堀口捨己は生涯にわたって建築と庭を一体的に探求した建築家である。建築と庭を制作しただけでなく、茶室を研究し、茶をたしなみ、短歌を詠んだ。そうした営みのなかで、まなざしはつねに自然の生命へ向けられていた。学生時代から短歌の制作を始め、北原白秋に近づき、写生をとおした生命の観照を学ぶ。そしてオランダでアムステルダム派の藁葺き屋根レンガ造住宅に出会い、帰国後、それに強く影響された「紫烟荘」を完成させた。茅葺き屋根に漆喰やレンガを使ったこの住宅で、堀口は田園の「地上的な原始的な静けさ、朗さ、円やかさ」を試みたのだった。

    参考文献 Takahiro TAJI, Le regard et la sensibilité de Horiguchi Sutemi, in N. Fiévé et B. Jacquet (Sous la direction de), Vers une modernité architecturale et paysagère, Paris, 2013

  • 第2部

    ディスカッション:都市と田園、あるいは田園都市

  • パネリスト:杉山真魚・菊地潤・鞍田崇・田路貴浩 | モデレーター:岡山理香(東京都市大学)

  • 閉会挨拶: 加藤耕一(東京大学)

分離派100年研究会メンバー

(敬称略・五十音順)

天内 大樹

青山学院大学

池田 祐子

京都国立近代美術館

市川 秀和

福井工業大学

大村 理恵子

パナソニック汐留美術館

岡山 理香

東京都市大学

勝原 基貴

金沢工業大学

加藤 耕一

東京大学

河田 智成

広島工業大学

菊地 潤

iffa(建築と芸術研究会)

近藤 康子

京都橘大学

杉山 真魚

岐阜大学

大宮司勝弘

文化庁国立近現代建築資料館

田路 貴浩

京都大学/研究会代表

田所辰之助

日本大学

角田 真弓

東京大学

本橋 仁

金沢21世紀美術館

活動の記録写真

東京大学、京都大学楽友会館、東京都市大学、旧京都中央電話局西陣分局舎をはじめ、分離派建築会のメンバーゆかりの地を会場に、連続シンポジウムなどを開催してきました。

2012年~2015年に開催した研究会の記録

 


分離派建築会の結成時のメンバー

分離派建築会の結成時のメンバー

分離派建築会
データベース


現在、分離派建築会に関する文献書誌情報等が検索できます。

展覧会開催のために行った調査成果なども、今後、一部をデータベース上に反映する予定です。

図面

0
  • 卒業設計
  • 建築作品

文献

199
  • 書籍
  • 雑誌記事

画像

0
  • 写真
  • 絵葉書
  • 図版

その他

0
  • 模型

リンク集

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分離派建築博物館
パナソニック汐留美術館
京都国立近代美術館
ria
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石本建築事務所
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朝日新聞社
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